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初期臨床研修・後期臨床研修

 

 

 

 

 

  

精神科領域専⾨医研修プログラム

 

I 専⾨研修プログラムの特徴

本プログラムの基幹施設である肥前精神医療センター(「ひぜん」)は、基本コンセプトの⼀つに「優れた臨床精神科医の育成」を掲げ、4半世紀にわたり精神科研修に⼒を⼊れ、過去15年間で123⼈の後期研修医を輩出してきた、わが国でも有数の精神科臨床の「専⾨教育病院」である。こうした実績が認められ、平成22年には地上3 階建ての「医師養成研修センター」が設⽴された。これは、各種講演会、研修会を⾏う200 ⼈収容の⼤ホール、カンファレンスや症例検討会、研究会を⾏うセミナールーム、さらに研修室、宿泊施設など最新の設備を備えた精神科医師養成のための専⽤施設である。

また、この施設には電子会議室が常設されており、ここで行われる研修会、講演会、症例検討会、勉強会等の内容が、リアルタイムで全国の国立病院機構の他14施設に向けて情報発信される。さらに、他施設で開催される講演会、研修会、症例検討会にも当院の会場から参加、視聴できる双方向の教育システムが構築されている。九州にいながら、東北、関東、中部、沖縄といった異なる文化圏の精神科医療を垣間見ることができ、症例検討会も各領域の専門家が他施設からもコメンテーター、スーパーバイザーとして参加するため、質の高いものになっている。こうした医師養成のための教育環境の整備、充実は、わが国でも類を見ない画期的なものであり、「ITを用いた多施設共同医師養成システム」として注目を浴びている。


「ひぜん」では、精神科研修を病院一丸となって推し進め、日々改善している。日本専門医機構から研修プログラムの骨格が示された際、当院の研修プログラムは既にそれに対応できており、今回提示するプログラムはそこからさらに進化したものとなっている。そのプログラムを評価するのは研修を行う専攻医のみなさんであるが、当院で研修を行った先生から勧められて研修を開始する後期研修医も多数あり、平成26年度には21人の後期研修医が在籍している。毎月後期研修連絡会議を行い、後期研修のあり方、問題点を話し合い、各研修医の状況把握を行っている。 その他にも、「ひぜん」の研修には、①豊富な症例②オーダーメイドできる研修内容③全国から集まる仲間④電子カルテの採用といった特徴がある。
①豊富な症例
「ひぜん」は、病床数504床で、その中に精神科救急病棟、児童思春期病棟、認知症病棟、医療観察法病棟、嗜癖関連病棟といった専門病棟がある。当然、症例数も豊富にあり、専門医取得に必要な症例、指定医取得に必要な症例が「ひぜん」だけで揃う。外来にも、一般外来に加え、専門外来に多数の患者さんが来院する。デイナイトケア、訪問看護を行っており、地域精神科医療の症例も集められる。さらに、新専門医制度開始に伴いプログラムを改変するにあたり、今まで当院だけでは不十分であったリエゾン研修を、佐賀大学医学部附属病院、佐賀県医療センター好生館にて行える体制を整えた。これにより、精神科臨床におけるほぼすべての領域をカバーすることとなった。 同時に、症例を経験することだけに焦点が当たるのではなく、患者さんに寄り添う姿勢を大事にしたいと考えている。医療全般において、患者さんに対してbio-psycho-socialといった多面的な評価、関与が必要とされており、精神科では特に重要である。そういった視点を大事に思うと、患者さんとのつながりの大切さが実感される。精神科では長い目でみる視点が大変重要であり、また患者さんのストレングスを大事にして寄り添うことの大切さは、長く寄り添わなければわからないものである。そういう意味で、「ひぜん」を中心にした研修では、半年や1年で研修施設を移りながら行うプログラムでは得られないものを得ることができる。



②オーダーメイドできる研修内容
専攻医の皆さんは、専門医の資格を得るために同じ目標をもって研修を行う。しかし、専門医取得後の進路も様々であるし、そもそも専攻医の皆さん一人ひとりが色々な強みや弱点を持っている。従って、年度初めに専攻医一人一人と話し合い、標準的なプログラムをベースに年度ごとの重点課題や目標を個別に決め、それぞれに応じたペース配分を話し合い、プログラム管理委員会の承認を経て決定する。将来、児童、司法、認知症、嗜癖など専門領域に進んだり、臨床研究を行っていったりするために必要な研修をオーダーメイドで提供する。また、半期毎の話し合いでは、専攻医の到達度だけでなく健康状態やさまざまな要望の確認も行い、安心してプログラムを継続できるように全力でサポートする。



③全国から集まる仲間

当院は学閥などがなく、地域性から北部九州の出身者が多いものの、全国から医師が集まっている(過去15年間で37の出身大学、123名)。前述したように、同期となる専攻医も多い。専攻医は、病院内で研修を通じて切磋琢磨し、診療後は鳥栖、久留米、福岡、佐賀などで行われる飲み会、食事会で親睦を深めている。重症な患者さんを担当して参ってしまいそうな時もあるが、その時救いとなるのは同期や仲間の存在である。そして、「ひぜん」の研修を通して仲間となり、研修後それぞれの道に進んだ後も、ひぜんメーリングリスト(ひぜんだよりの配信、最新情報の提供)を通じて交流したり、学会・主張の際に定期的に会って昔話を楽しんだり情報交換するといったことが可能である。精神科医療は地域で異なる部分も多くあり、一つの地域での常識が別の地域では非常識であることもあり、全国的な医療モデルを考える上では、それぞれの地域のことを意見交換して参考にできることは非常に大事である。全国から来る多くの仲間ができることも、本プログラムの大きな魅力の一つである。



④電子カルテの採用
「ひぜん」では、平成27年5月より電子カルテを導入した。電子カルテの作りこみにおいても、専門医研修を強く意識した。電子カルテの項目を入力するだけで、臨床において重要な視点や忘れがちな視点を意識できるように作られている。 電子カルテの導入により、指導医をはじめ他の医師の診療の様子、あるいは多職種の患者さんへの関わりを瞬時に見ることができる。当院のような大型(東京ドーム6個分の敷地面積)医療機関においては大きなメリットである。また、逆に電子カルテ上で専攻医の治療のようすを指導医に見てもらうことができる。ほどよい緊張感はあるだろうが、診療の質をあげるためには必須要素である。

最後に
本プログラムは専門医を目指す皆さん全員が専門医として活躍できるように、指導医全員が研修医ひとりひとりに寄り添いながら、本プログラムで研修できたことを誇りに思えるプログラムとなるように実践していきたいと考えている。

 

II プログラム全体の指導医数・症例数

■プログラム全体の指導医数: 49 人
■昨年一年間のプログラム施設全体の症例数

疾患 外来患者数(年間) 入院患者数(年間)
F0 2260 565
F1  971  550
F2  2146  1430
F3  2799  707
F4 F50  2912  282
F4 F7 F8 F9 F50  3647  364
F6  201  83
その他  1041  204

 Ⅲ 年次到達目標

1年目:基礎固め
まず、面接の基本を指導医から学び、患者さんの苦悩に共感し寄り添う姿勢を身につける。病気の症状や問題点を把握し精神医学用語を用いて記述する力をつける一方、患者さんの健康的な側面、ストレングスの把握に努める。多職種と協働する姿勢も学ぶ。
入院患者を中心に受け持つが、救急病棟では症例指導医の指導を受けながら、主治医として統合失調症、気分障害の患者さんを中心に受け持ち、面接の仕方、診断と治療計画、薬物療法及び精神療法の基本を学ぶ。行動制限の手続きなど、基本的な法律の知識も学習する。救急病棟では、週1-2回の回診に参加して、上記を学ぶ。慢性期の病棟の患者さんを5-10人程度受け持ち、その経過から精神科医療の歴史を学んだり、長期入院者の精神科リハビリテーションの実際を学んだり、新しい治療を導入するなどの試みを行ったりする。mECTを行う患者さんを担当し、適応、手技などを習得する。
外来では、指導医の新患診察の予診についたり、陪席したりすることによって、面接の技法、患者との関係の構築の仕方、基本的な心理検査の評価などについて学習する。受け持った入院患者が外来に移行した場合は、指導医の指導を受けながら担当し、退院後の経過や地域生活を送るうえでの必要な知識や方法を多職種からも学ぶ。
当直は指導医とともに月2-3回行い、救急対応、法律の知識、医療安全などを学ぶ。
デイケア、集団で行う心理プログラムを見学し学ぶ。
退院前訪問看護や訪問看護に同行し、患者さんの自宅での様子や地域との関わりについても学ぶ。
地域の保健師などとの患者さんについてのケア会議などに、指導医とともに参加する。
知識の習得においては、毎週テレビ会議システムを用いて行われる講義(国立病院機構精神医学講義)により、専門医取得に必要な基礎から応用までを学ぶ。
院内のカンファレンスで発表し討論する。

 

2年目:幅を広げる
準ローテーションとして、認知症、児童、嗜癖の症例を4-6カ月ずつ集中的に、入院患者を中心に経験する。救急病棟において症例指導医の指導を受けながら、主治医として重症度の高い統合失調症、気分障害に加え、神経症性障害などの症例を経験する。
外来では、指導医に相談しながら週1回再来患者の診察にあたる。
指導医の指導を受けつつ、自立して、面接の仕方を深め、診断と治療計画の能力を充実させ、薬物療法の技法を向上させ、精神療法として認知行動療法と力動的精神療法等の基本的考え方と技法を学ぶ。
論文作成や学会発表のための基礎知識について学び、地方会等で発表する。


3年目:深く学ぶ
2年間の経験を踏まえて、指導医から自立して診療できるようにする。
準ローテーションのうち、残っている分野があれば経験する。さらに、佐賀県医療センター好生館、佐賀大学医学部附属病院などにおいて、リエゾン症例を経験する。
他の地域での精神科医療を経験したい者は、広島県の賀茂精神医療センターや北九州市の八幡厚生病院での研修も可能である。
将来に向けて、児童精神医学、司法精神医学、嗜癖精神医学、認知症などの専門研修を3年目から行うことも可能である。但し、2年目までにその他の症例等を修了している必要がある。また、社会人大学院と並行することも可能である。
救急病棟などでは、より重度な症例、パーソナリティ障害の治療についても経験する。刑事訴訟法による精神鑑定助手や医療観察法鑑定の主治医を担当する。
認知行動療法や力動的精神療法等の精神療法を上級者の指導の下に実践する。
心理社会的療法、精神科リハビリテーション・地域精神医療等を学ぶ。
一般人を対象としたメンタルヘルスなどの講演や看護学生への精神医学の講義を行う。 学会の総会や全国規模の研究会などで症例発表し、論文作成を行う。
臨床研究・臨床治験に参加する。

 

 Ⅳ ローテーションモデル

1年目:肥前精神医療センター
精神科救急病棟に2-5名の急性期の患者さんを受け持つ。慢性期病棟を2病棟受け持ち、6-10名の患者さんを受け持つ。救急病棟の算定基準に合わない患者さんを他の病棟で受け持つこともある。
外来は、入院中に受け持った患者さんを外来でフォローアップする。新患の予診を毎週とる。発達障害診断外来の予診、結果説明の陪席を行う。
2年目:肥前精神医療センター(準ローテーション制)
 精神科救急病棟での急性期治療とその他の1病棟に加えて、認知症・高次脳機能障害関連分野、嗜癖関連分野、児童思春期関連分野を4-6か月間に区切って行う。
3年目:肥前精神医療センター及び3-6カ月佐賀県医療センター好生館または佐賀大学医学部附属病院をはじめとする大学病院にてリエンゾン研修 
準ローテーションを終了していない者は、継続して行う。リエゾン研修を3-6カ月行う。
児童精神医学、司法精神医学、嗜癖関連精神医学、認知症・高次脳機能障害の専門分野の研修を重点的に行うことが可能である。
他地域や民間病院での精神医療を学ぶために、NHO賀茂精神医療センター(広島県)、八幡厚生病院(福岡県北九州市)での研修も可能である。
また、九州大学、佐賀大学などの社会人大学院に進学し、当院で臨床や研究を行うことも可能である。


 

Ⅴ 研修の週間・年間計画

「ひぜん」


■国立病院機構精神医学講義(基礎講座、応用講座)
当院では、毎週金曜日のお昼に、約1時間「ITを用いた多施設共同医師養成システム」の研修プログラムとして参加15施設の指導医が、交互に精神医学の基礎的知識から最先端の情報までを幅広く講義している。

■モーニング・カンファレンス
毎週金曜日の朝に、専攻医が受け持ち患者の症例提示や興味を持ったことについての発表を行い、指導医を交えて検討会を行っている。

■新入院報告会
毎週水曜日の医局会後に、1週間で専攻医が受け持った入院患者について、簡単にプレゼンテーションをしてもらい、医局全員が把握する機会を持っている。

■症例検討会
月1回、水曜日の新入院報告会後に行い、多くの指導医を交えて、困っている症例などについて症例検討を行っている。

■院内カンファレンス
アルコール・薬物関連問題勉強会(ひみこクラブ)、児童思春期症例検討会(ひよこクラブ)、認知症勉強会などが定期的に行われている。

■肥前セミナー
1986年から年に数回、国内外の著名人を招いて講演会を開催しています。毎回院内外から100名程度の参加がある。 

■肥前精神医学セミナー
2012年度より、全国の初期研修医、後期研修医等を対象に2日間の研修会を開催している。全国の若い医師が当院に集まり、意見交換と親睦を図ることを目的にしている。精神科分野の様々なレクチャーを受け、著名な医師から直接講義を受けることができる。

■先端精神医学セミナー
2013年度より最新のトピックスを中心に医師の関心のあるテーマについて、国内外から講師を招いて講演を行っている。

■各種研修会
基幹施設では、院外からも講師を招いて「認知症高齢者対策研修」、「アルコール薬物関連問題研修会」、「行動療法研修会」、「精神科看護研修」、「CVPPP(包括的暴力防止プログラム)研修」、「司法精神医学研修会」、「ブリーフ・インターベンションワークショップ」などの全国規模の研修会を毎年開催している。こうしたプログラムにも予め受講希望を申し出れば、参加が可能である。

■臨床研究部
神経画像研究室、生化学・精神薬理研究室、高次脳機能研究室、行動生理研究室、心理研究室、司法精神医学研究室、社会精神医学研究室があり、専攻医も興味のある研究室で臨床を行いながら、研究を行うことができる。

■その他
司法精神医学専門研修コースを選択した専攻医でなくても、副主治医として最先端の精神医学の研修や精神鑑定などの助手を行うことができる(鑑定も主に責任能力を評価する鑑定と、医療の必要性・処遇を決定するものまで、種々に行っている)。

 

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